本物のおいしさがここに。Chez BRUNET

コーディネート/田中敦子, 写真/Mika Inoué, 取材・文/猫沢エミ

Chez BRUNET
シェ・ブリュネ(ブション)

23 rue Cloudia 69002 Lyon
Tél:04.78.37.44.31
http://www.bouchonlyonnaisbrunet.fr
Métro:A線、Cordeliers-Bourse
年中無休 11:30~14:30/18:00~22:30

 

本物のおいしさがここに。ブションで、冬はぜひジビエときのこを!

ブション、とはリヨンの地方料理を出す伝統的なレストランのことで、リヨン市内には数多くのブションがある。その中でも、地元民が絶賛する店が、ここブリュネ。1986年にピエール・ロメイエとポール・ボキューズが設立した、フランス伝統料理の手法を守りながら新しい技術を探求するシェフに贈られる‘EURO-TOQUES’を’97年に受賞。他にも多数、名だたる賞のグランプリを取っているにも関わらず、シェフのジル・メゾナーヴは言う。「僕はね、堅苦しいレストランは作りたくなかった。ここで出すものは、いわゆる‘おばあちゃんの味’ってやつ。昔からフランス人の舌が知っている温かい家庭伝統料理だよ。ガイドの星なんかどうでもいい。僕は、自分の家に帰ってきたようなお客たちと料理のことを語り、一緒に楽しむのが好きなんだ。」その言葉通り、気さくで愛らしいキャラクターのジルは厨房とフロアをエネルギッシュに行き交い、店を盛り立てる。「今はフランス料理に最高の季節だよ。ジビエ(野禽類)ときのこの組み合わせはこの時期にしかできない。それから僕の看板メニュー、トリップのグラタンを食べてみて!とにかく最高だから。」

冬の風物詩、ジビエを掲げるジル。左がfaisan-フェザン(キジ)右がColvert-コルヴェール(野生の青首鴨)。ジビエの時期は通常10月~2月頃まで。「とにかく僕は、ジビエにはきのこを合わせたいから、ブリュネのジビエ期間は他よりもう少し短いんだ。早く食べに来て!」

心からおいしかった!Colvert rôti aux cépes,girolles,trompettes de la mort et pieds de mouton(29ユーロ)コルヴェールのロティと、セップ茸など4種類の季節のきのこソテー。ジビエ特有の複雑な肉の味と、きのこの芳香の相性がたまらない。ジビエのメニューは‘LA CHASSE’と書かれたものを見て。

(写真上)リヨンの伝統料理といえば、臓物料理。Tête et Langue de veau,sause gribiche(13€)子牛の舌と頭、グリビッシュ・ソース添え。すっきりとろけるのど越しは、ホルモン系が苦手な人も驚きのおいしさ。

(写真上)ジルと愛妻、エマニュエル。「シェフの奥さんが一緒に店で働いてくれるのは少ないんだ」ふたりを見ていると信頼、という言葉が浮かぶ。
 

(写真下)ジルの看板メニューGratin de tripes cuite à l’ancienne(13€)トリップ(牛の胃袋)昔風焼きグラタン(13€)。オーブンの中で6時間も煮込まれるトリップは、表面がかりっ、中はもちもち。絶品!

 

 

 

 


 

BONZOUR JAPON Nº 18 [古都・リヨンを巡る旅 前編] より

*取材データは最新のものですが、ここで紹介される品物の値段、および各店舗の営業時間・定休日は急に変更されることがあります。また、文章は取材当時のものを使用していますことをあらかじめご了承ください。