南仏ならではの食材。美食の新スポット。
古くから牡蠣やムール貝の養殖地として栄えるセット。海にかこまれた港街の魚介類はもちろんのこと、ワインの名産地としても名高いラングドック地方の土壌でとれる力強い野菜や家畜類。その豊かな食材に惹かれて、この土地にレストランを開く腕のあるシェフが増えている。大都市ではなかなか実現しないストレスフリーな好環境で、広々とした敷地をかまえるレストランは、作る側も、それを楽しむ客側にも、この土地ならではのおいしい時間を与えてくれるのだろう。そんなセットのレストランの中でも、特に光る新進気鋭のお店を紹介しよう。
TERRE ET MER
テール・エ・メール(レストラン)
Place du Souras Bas 28 promenade J.B Marty 34200 SÈTE
Tél:04.67.74.49.43
火・水曜定休 10:00~15:00/18:00~22:30
http://www.restaurant-terreetmer.com
元2つ星レストランのシェフとサーヴィスマンが奏でる美食のハーモニー
噂のレストランがセットにあることを知った。その店は、オープン1年目にしてセットはおろか、近隣の都市からもそのおいしさを聞きつけた顧客で大人気だという。さっそく訪ねてみると、敷居の高そうな前評判とは裏腹に、親しい友達のような明るいテンションで出迎えてくれたサーヴィスマン兼オーナーのトニー・ヴィヴェスと、若くてちょっぴりシャイなシェフ、ダヴィッド・セドリックのオープンで気さくなレストランだった。しかし、こだわり抜いた食材、料理、ワインの奥深さに圧巻!けれどあくまでも雰囲気はゆったり。「どうしてセットにレストランを開いたかって?僕はトゥールーズ生まれだけど、海が見えるこの土地の方が美しい人生を送れると思ったからさ。」そう語るトニーの、サーヴィスを悟られない真のサーヴィスに浸って。
セットだから、仏語の’Sept-セット/7’にかけて、前菜、メイン、デザートはそれぞれ7種類。 前菜とメインは3つがTERRE-テール/陸の食材、4つがMER-メール/海の食材。 ちなみにデザートは3つが軽めで、4つが重めという面白い設定。 |
シェフのダヴィッドはトゥールーズの2つ星レストラン‘Jardin des sens’、トニーはやはり2つ星レストラン‘Michele Saran’出身。
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(写真下)今日の魚のメインのひとつ、Poivrons farcis à la brandade de morue-赤ピーマンのタラのピューレファルシ。la brandade de morueとは、塩漬けのタラを戻したピューレを卵黄と合わせてなめらかに漉したもの。白ワインにもロゼにもぴったり。 |
(写真左)南仏のこの地方にきたらアペリチフで飲みたくなるのが、MUSCAT-ミュスカ。かなり甘いが後味すっきり。キンキンに冷やしたものをサーヴしてくれる。(写真下)本日の魚の前菜、Piste de moules et crevettes-ムールと海老のピスト。酸味の効いた軽やかなソースをまとったムールと海老はぷりぷりの食感。食用花があしらわれた盛りつけも美しい。
(写真下こちらも今日の魚のメイン、Marmite de la mer-海のお鍋。お鍋、なんて書くとちょっと日本ぽいものを想像してしまうが、中は濃厚な海の幸の旨味が凝縮されたクリームスープ。上のパイ生地を崩しながら食べると、天国へ昇天! |
BONZOUR JAPON Nº 23 [ 南仏の小さな宝石、セットへ ] より
*取材データは最新のものですが、ここで紹介される品物の値段、および各店舗の営業時間・定休日は急に変更されることがあります。また、文章は取材当時のものを使用していますことをあらかじめご了承ください。